金融機関から融資を受けやすい体制を作る
金融機関が融資の可否判定を行う際の判断基準は次の3点です。 ① 簡易キャッシュフローの有無 ② 実態債務超過の有無 ③ 債務償還年数
① 簡易キャッシュフローとは、「税引き後利益+減価償却費」のことを言い、企業の年間
返済可能額を表します。ただし、過大・過少な役員報酬の場合、生活費等を考慮して修正する必要があります。
② 実態債務超過とは、財務内容の指標で文字通り、債務超過(資産<債務)に陥っていな いかを判定します。貸借対照表を基に実質資産性のない資産や実質資本とみなすことが可能な負債等を修正した上で判定します。主な修正点は次のとおりです。
資産項目:回収不能な売掛金・仮払金・貸付金、資産性のない在庫、固定資産の償却不足
負債項目:役員からの借入金
③ 債務償還年数とは、簡易キャッシュフローの全額を返済に充てた場合に何年で完済でき るかを表した指標です。借入の金額は実際の借入金額ではなく、下記の算式により計算した金額となります。
借入金額=有利子負債の額-現預金残高-運転資金
上記の金額を簡易キャッシュフローで除して計算されます。債務償還年数が10年以上であれば借入過多と判断されます。言い方を変えれば、簡易キャッシュフローの金額×10が借入可能額の上限です。
一般的には、この3点を充足しなければ、プロパー融資による借入は難しいですが、どれか1つでも充足していれば、日本政策金融公庫や保証協会の保証付き融資は受けられる可能性があります。
従来は上記の判断基準で融資の可否判定が行われていたのですが、平成26年9月11日公表の「金融モニタリング基本方針」では、金融庁は金融機関に対し、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、事業の内容、成長可能性を適切に評価し、融資や助言を行うための取り組みを検証すべきと記載しています。いわゆる事業性評価による融資を行いなさいということです。
これまでの過去の実績による評価だけでなく、今後の成長可能性が高いと思われる企業に融資しなさいとのことですが、では今後の成長可能性が高いと思われる企業とみられるにはどのような企業でなければならないのか?という疑問があります。
難しく思われるかもしれませんが、至ってシンプルです。業績向上のためにどのような努力をしているかに尽きます。前回のコラム記載の「利益を上げる環境作り」がきっちりとできているかです。
自社で迅速な月次決算を行い、予実管理で予算と実績の検証を行い、自社の強みと弱みを分析の上、次の一手を考える。その状況を随時金融機関に報告する。この流れを継続していくとどんぶり勘定の企業に比べ業績も向上するでしょうし、自社の経営について真摯に取り組んでいると金融機関においても今後の成長可能性が見込まれる融資先と見られることでしょう。
弊所では、月次試算表や決算書等を随時金融機関に電子データにて送信するサービスも行っています。金融機関に随時報告することにおいてもIT化による省力化が可能です。金融機関はビジネスパートナーです。金融機関と上手く付き合うことにより、資金の潤沢化を図ってみたいと思う経営者の皆様。まずはご連絡下さい。
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