資金繰りを安定させるためには、とにもかくにもキャッシュポジション(手持ちの現預金)を高く持つ必要があります。会社にとって、資金は血液です。キャッシュポジションが低下してしまうと貧血を起こし、正常な判断ができなくなります。よって、いかにしてキャッシュポジションを高い位置でキープすることができるかということを考える必要があります。
資金繰りに困らないようにするには、以下の点について注意する必要があります。
1.金融機関から借りられる時に借りられるだけ借りておく
2.資金繰り管理を行う
3.利益を上げる
4.利益を上げる環境を作る
5.金融機関から融資を受けやすい体制を作る
1.金融機関から借りられる時に借りられるだけ借りておく
よくある間違い常識ですが、金融機関から融資の提案を受けたが、今は比較的資金に余裕があるため、融資の提案を断ったというお話しをよくお聞きします。
一寸先は・・・という言葉がありますが、何らかの発明等により、市場環境が激変し、売上が激減する、または不慮の事故、病気により経営者様が経営に従事できなくなったことにより、売上が激減するといった場合には一気にキャッシュポジションが低下します。
業績が悪くなり、資金が必要になったら金融機関に相談に行けばいいというお考えの経営者様が結構いらっしゃいますが、金融機関の融資担当者の立場になって考えてみて下さい。
業績が悪く、今後も回復の見通しが不明の会社に融資をしても、回収できる見込みはありません。そのような会社に融資がしたいですか?
融資をするのであれば、確実に回収が見込まれる相手先に融資をしたいと考えるのが普通です。「銀行には日傘だけで雨傘はない」という言葉を耳にしますが、まさにそのとおりです。
冷静になって考えてみて下さい。余分に1,000万円の融資を受けたことによる金利負担は年利2%だったとしても、1,000万円×2%=20万円です。月に換算すれば16,666円です。その金額で安心を買えると思ったら安い買い物ではないかと思います。
ところで、融資を実行する際には、過去の実績というものが1番客観的な数字のため、重視される傾向にあります。この頃はその企業の将来性についても検討の上融資を行う方向にはなってきていますが、将来性について合理的に説明するのは簡単なことではありません。
では、創業間もない会社にとって1番借りやすい時はいつでしょうか。1回決算を終えて良い成績が出た時?いえ、そうではありません。創業時です。1回決算を終えた時で借りやすい時は十分な黒字決算が出たときですが、会社の業績は一般的には投資した金額に比例します。投資を特に必要としないビジネスを除き、創業した時に手許資金だけで事業を展開したとしても余程の手元資金がある時ではない限り、黒字が出たとしてもそんなに大きな金額とはなりません。大きな黒字とならない限りは、調達可能金額はそんなに大きくはなりません。
また、創業時は事業の過去の実績がないため、判断材料がありません。何を持って判断するかと言えば、創業者のキャリアと自己資金の金額です。これから始められる事業の成功確率は、経験のない事業よりも経験のある事業の方が当然高くなります。また、事業が継続するには、最低限の資金が必要です。創業融資により資金のダムを作るとしても、手元資金があればある程安全性は増します。また、創業するために計画的に事業資金を貯めてきたという事実も経営者としての資質を高めることとなります。
よって、創業者のキャリアを活かした事業を起こすため、事業を成功させることができる。それに加え、事業資金を安定させるために自己資金を貯めてきたこととこれから行う事業の事業計画の実現性が返済計画を含めて説得力のあるものに作成でき、それを融資担当者に伝えることができれば、融資が実行される可能性はかなり高くなります。
ただし、注意が必要なのは、事業を開始する前に動き始めるのが1番借りやすくなるということです。事業を開始して数か月後、仮に2か月後であったとしても、なぜ、事業開始前に融資を受けなかったかということが合理的に説明できなければ、この創業者は創業するにあたって、創業融資を受けるという大事なことさえ検討しなかった人と判断される可能性があります。最悪の場合、何も考えずに事業を初めて、資金が厳しくなったから融資を受けに来たと判断されるケースもあります。創業間もない数字を教えてくださいと言われても、創業間もなくいきなり事業が順調に進むことは稀です。創業融資については、事業を開始する前に検討するのが1番賢明です。
まだ何をしたらいいかわからないという方もいらっしゃるかと思います。当相談室では、創業融資だけでなく、創業するにはどの様にしたらいいのかということまで無料相談にて対応させていただきます。お気軽にご相談下さい。
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